古刀に情熱、藤原さん

自分のペースで制作 田人町に鍛刀場を設ける

藤原 宗永さんMUNENAGA FUJIWARA

 製造、医療、福祉、サービス、農林漁業などなど。仕事のフィールドは数あるが、歴史に育まれてきた「伝統文化」の分野で活躍する人もいる。
 若葉台出身の刀工、藤原宗永さん(38)。幼いころから刀や弓矢に興味を持ち、高校卒業と同時にこの道へ。2008年に晴れて刀工になり、19年9月、田人町に鍛刀場を構えた。16世紀以前に作られた「古刀」に心を動かされ、再現に情熱を注いでいる。
 弟子入り時代は、2人の師匠の下で修業を積んだ。最初の師匠は福島市の藤安将平刀匠だが、「熱田神宮(名古屋)の奉納刀行事にかかわることで『古刀の再現』への思いが強くなり、一から出直すつもりで、愛媛の藤田國宗刀匠に再入門しました」と振り返る。
 以前はテーマパークの公開鍛錬場で専任刀工を務めていたが、刀を打つ音が大きいため、気を使うことも多かったという。このため、鍛刀場を創設。「自分のペースで制作に携わることができる」と、念願に顔をほころばせた。
 刀工に認められている制作数には制限があり、刀なら月に二振りまで。もちろん作陶などとは違い、刀は失敗したら鉄の塊に戻してやり直すことができるが、かけた時間と手間は戻らない。
 「一つでも工程を間違えたら、全て台無しになることもある。だからこそ、段取りが大事なんです」
 また、作刀以外にも、県内で見つかった未登録の刀の鑑定を行っている。「後世に刀を残すための活動です」。そう語る宗永さんの瞳には、情熱がほとばしる。

profile

 1984年1月生まれ。仕事を離れるのは、打ち合わせなどの出張時のみ。出先の美術館や博物館で刀を見ることが楽しみ。鍛刀場は、田人町南大平字下毛13−1。見学は事前申し込みが必要。連絡は、https://munenagatantoujou.jp/contactまで

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