地元に恩返し、髙梨さん
「地元のために恩返しをしたい」。そんな思いを、大きな形にした人がいる。 日本フルーツアートデザイナー協会代表の髙梨由美さん(54)。“オールいわきロケ”で制作、平成30年に公開された震災復興映画「それぞれのヒーローたち」の企画・原作を担当した。 映画は、かつて軟式野球部で活躍した選手たちの青春と「その後」を描いたヒューマンドラマ。東日本大震災(2011年3月11日)とも向き合いながら、一人の女性の視点を通して物語が展開されていく。 高校時代に軟式野球部のマネジャーを務めた髙梨さんの経験、実話がベース。全国120カ所で無料上映され、人気を集めた。「被災地から日本を元気にしたい」と考え、「子どもたちの未来に夢と憧れを」を合言葉に制作に挑んだという。 髙梨さんは都内の保育園に勤務後、“とらばーゆ(求人情報誌)の波に乗り”、大手商社系の会社に転職。食品関連のビジネスに携わったのち、同22年に同協会を設立、独り立ちした。 同協会は、果物のカットに芸術の要素を加えた「フルーツアート」を通じ、果物の消費拡大などに取り組む。著書の出版や高校での指導など、活動は広がりを見せている。 4年ほど前、地元の小名浜に転居。映画づくりも理由の一つだった。「地域文化の向上、社会活動が私のライフワークです」と柔らかな口調で語る。口ぐせの一つは「地域への恩返し」だ。コロナ禍では市民の抗体検査にも協力するなど、八面六臂の活躍を続けている。